真栄NEWS
ぽかぽか通信『しんえいの杜開設にあたって』
当院では年4回、『ぽかぽか通信』を発行しております。
今回は平成21年6月発行の『ぽかぽか通信』1面記事をご紹介いたします。
2〜4面でも楽しい内容の記事を掲載しておりますので、当院へお越しの際は是非お手にとってご覧下さい。
| しんえいの杜開設にあたって |
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しんえいの杜 施設部長 山口 修史 |
去る、平成21年3月1日、真栄病院内に介護療養型老人保健施設(以下、療養型老健)『しんえいの杜』を無事開設することができました。開設準備の際には、たくさんの方々にご協力いただき、心から感謝しております。
療養型老健は札幌市では昨年7月に『はくゆうかい』(西区)が、病院丸ごと転換しており、当施設は札幌市で病院併設型(病院の一部を転換)としては第1号で、療養型老健としては第2号となりました。
そもそも、療養型老健とはどんな老健か?実は国の政策と大きく関わっています。今、国は38万床の療養病床を22万床にまで削減し、介護保険の療養病床
(以下、介護病床)に至っては平成23年度一杯で廃止することを進めています。厚労省はこの政策を進めるために平成18年の診療報酬改定の際、医療保険の
療養病床(以下、医療病床)にある縛りをしてきました。それは医療依存度の高い方と低い方(注1)に分け、医療依存度の高い方を多く入院させないと経営ができないような診療報酬(注2)改定を行い、結果医療依存度の低い患者は退院促進・入院困難という事態となり、一時期新聞やテレビで『医療難民・介護難民』という見出しが飛び交っていたのは記憶に新しいのではないでしょうか?
そこで、胃瘻(いろう)や
痰吸引等の看護処置が中心の医療依存度の低い患者は、介護病床に入院することが主ですが、介護病床は平成23年度一杯で廃止になることが決まっているた
め、介護病床廃止以降、こういった患者の受け皿になることを前提とした施設が、療養型老健なのです。また、これは療養病床を施設に転換することで患者の居
場所がなくなるのではなく、居場所をなくさずに病床をなくすことができるといったカラクリと私は理解しています。
さて、ではなぜ真栄病院は一部病床を療養型老健に転換したのか?それは、真栄病院がリハビリテーション(以下リハビリ)に力を注いだ結果、リハビリを終
了した医療依存度の低い患者が、施設入所や居宅復帰までの時間を真栄病院で過ごすこととなり、厳しい経営を余儀なくされる事態になりました。
前述の通り、医療依存度の高い患者は病院への入院、医療依存度の低い患者は介護保健施設への入所が前提となるため、この先ずっと真栄病院が安定した経営
のなかで目指す医療・介護サービス(リハビリ機能)を提供するには、療養型老健が必要と判断し開設することに決めました。また、真栄病院としんえいの杜が
連携すれば、身体機能の回復を中心としたリハビリ機能(医療)と、生活機能の回復を中心としたリハビリ機能(介護)が連携した、高齢者や障害者の生活を支
える医療機関になれると考えたのです。
今後しんえいの杜には、多くは真栄病院から病状が安定している介護量の多い方や、胃瘻(いろう)や
痰吸引等の看護処置の必要な方々が入所されると思います。入所された方は、看護・介護を24時間受けながら、可能な限り生活を楽しめるよう、生活に喜びを
感じられるようサービス提供をしたいと考えております。また、当施設は今入所されている方、これから入所する方たちの多くの方々にサービス利用して頂ける
よう、終身での入所希望はお受けできません。しかし、次の生活場所につなぐことのできる療養生活を支援することを第一に考えておりますので、今後ともご理
解とご協力の程よろしくお願い致します。
(注1) 療養病床では、気管切開・難病・中心静脈栄養など医療管理中心の方が、医療依存度の高い患者とされており、経管栄養・インスリン・人工肛門など看護処置中心の方は、医療依存度が低い患者とされています。
(注2) 診療内容により病院が頂く報酬。言い換えると医療サービスに対して国で決定した価格。 |
2009-07-06
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