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真栄NEWS

ぽかぽか通信『認知症の理解とそのケアの要点』

当院では年4回、『ぽかぽか通信』を発行しております。
今回は平成18年3月発行の『ぽかぽか通信』1面記事をご紹介いたします。
2〜4面でも楽しい内容の記事を掲載しておりますので、当院へお越しの際は是非お手にとってご覧下さい。

担当医画像認知症の理解とそのケアの要点
院 長  小笠原 俊夫

 以前は「痴呆症」と言われていましたが、今は「認知症」という疾患名になって広く使われるようになっています。私自身もあまり違和感がなく日常的に使うようになりました。また最近は認知症の方が自分の体験を語られるような機会もあり、一般の方々も認知症の理解が少しずつ広まっています。今一度、認知症の理解とそのケアの要点について簡単にまとめてみました。

認知症とは・・・
 「認知症」とは、どのようなものかと言いますと、成人になってからおこる記憶と知能(判断力)の障害といえます。この認知症の症状は脳の障害でおこる〔中核症状〕と周囲環境の影響でおこる〔周辺症状〕に分けると理解し易くなります。
 認知症の方の体験世界は、まず〔中核症状〕である記憶や判断力が薄れるため現実世界を把握できなくなり、周りが不可解で不安と緊張でいっぱいの状態でしょう。そして、周囲ともうまく関われないもどかしさや憤りが混乱を生み出し〔周辺症状〕の問題行動(徘徊や不潔行為)となったり、新しい記憶がなくなり過去の記憶や本人にとって意味のある記憶をつなぎ合わせて、自分世界を保とうと精神症状(幻覚や妄想)が出現するのだと思われます。

ケアの要点は・・・
 これも〔中核症状〕と〔周辺症状〕に分けて考えると理解し易いと思います。〔中核症状〕は、基本的には進行する病気ですので進行を遅らせることが大切な目標となります。まずは、脳の神経細胞の刺激を多くし、記憶や判断力の低下を予防することが大切です。具体的には、運動や日常での精神活動(記憶や計算力・判断力を使うこと)を多く行うようにすることが良いでしょう。又、アルツハイマー型の認知症には脳の神経の伝わりを良くする薬も出てきていますので、これも効果が期待できます。
 〔周辺症状〕には、まず周囲の関わりが重要です。幻覚・妄想については例えば「財布を盗られた」ということがあったら、「それは困ったね。一緒に探してみようか」と一緒に探すことが良いようです。見つかったら「あった、よかったね」と見つかったことを喜びあって安心させることが大切です。
 失禁などの不潔行為は、失敗を隠したいという羞恥心が主と考えられますが、叱ったりせず排泄のリズムをつかんでトイレへ誘って失禁を少なくし、失敗したときは気持ちよく下着を替えられるようにしてあげることが大切です。
 もうお気づきとは思われますが、認知症のケアの要点は何よりも安心できる快適な居場所を作ってあげること、不安な気持ちと共感しその解決をめざすことと言えます。
 また、不穏や不眠などの症状には本人の生活能力をあまり落とさずに、薬の効果も充分に期待できるようになってきています。
 しかし、これらの対応にも限界があることも確かです。不安が強くなりイライラ感(焦燥感)が強くなると人は大きなエネルギーを使い疲れきってしまいます。このような時は、専門医に相談し強い薬物療法も必要になります。このような対応は早めの方が薬も少なく副作用も弱く抑えて効果も期待できるようになってきています。
 現在は認知症の診断や治療は専門医のみならず、身近な診療所の医師も可能になるように研修会も多く行われてきています。また医師会を中心に地域の相談できる医療機関名の案内もされるよう準備されてきています。今、困っている方は医療福祉・行政の相談窓口にでも案内して頂いてはいかがでしょうか。

 それにしても認知症のケアの要点は人と人の関わり方の要点と同じだな〜とつくづく感じる次第です。私は今日、何人をイライラさせたのだろう・・・反省


参考文献 ・アルツハイマー症 ケアの要点
     ・アルツハイマー型痴呆の基本を知る(日本医師会雑誌)

2006-03-17